退職時には空白期間が生まれます。
私にも、会社員生活の最後に2ヶ月の有給期間がありました。
長いこと夢見てきたロングバケーションです。
けれど実際に過ごしてみると、それは思い描いていたような長期休暇ではありませんでした。
やり残したこと、できなかったこともありました。
それでも振り返ってみると、この期間は、次の人生に向けた大切な助走期間だったのだと思います。
この記事では、私が退職後の空白期間を実際にどう過ごしたのかを振り返ってみたいと思います。
退職届を出してからの4ヶ月でやったこと
私が退職届を提出したのは、退職日の半年前でした。
退職届を出したあと、最初の4ヶ月は、通常の仕事を今まで通りこなしながら、少しずつ仕事を整理し、引き継いでいく期間でした。
退職を決めた当時は、前回の記事「退職という選択」でも書いた通り、不安の中で何をしたらよいのかわからず、なかなか前に進めない状態が続きました。
私は、物事を同時並行で進めるのがあまり得意ではありません。
本業をしながら、副業もして、勉強もしている人をSNSなどで見ると、本当にすごいなと思います。
でも、私には同じように効率よく動くことはできませんでした。
それでも、退職届を出したあとの4ヶ月で、何もしなかったわけではありません。
最初に取り組んだのは家計の把握です。
退職後の生活を考えるうえで、まず自分の家の収支を知らなければ、何も判断できないと思ったからです。
家計を把握したあとは、少しずつ家計改善にも取り組み始めました。
具体的な内容を書き出すと長くなるので、これはまた別の記事でまとめたいと思いますが、とても大事な作業でした。
退職後の不安を少しでも減らすためには、まずお金の現状を見えるようにすることが必要でした。
本業と引き継ぎを優先した
退職が決まったあとも、やらなければいけないこと、やりたいことはたくさんありました。
家計の見直し。
次の仕事をどうするのか。
学び直し。
退職時の手続き。
考え始めると、いくらでも出てきます。
ただ、事業整理で会社の経営が混乱する中で、本業を疎かにすることはできませんでした。
今までお世話になった会社です。
最後まで自分の役割を果たすことは、自分にとっても大事なことでした。
そのため、まずは本業をしっかり務めることを優先しました。
退職が決まったからといって、すぐに気持ちを切り替えられるわけではありません。
会社にいる間は会社員としての責任があり、引き継ぎもあります。
その一方で、退職後の生活も考えなければいけない。
この時期は、心の中では次のことを考えながらも、目の前の仕事をこなしていく時間だったように思います。
自宅で仕事ができる環境を整え始めた
しばらくして、会社員を退職したあと、個人で収入を得る道も考えるようになりました。
その下準備として、自宅で仕事ができる環境を、休日や余暇を使って少しずつ整え始めました。
デスクをDIYで作ったり、PCを購入したり、副業や起業について調べたりしました。
まだ具体的な仕事の形が決まっていたわけではありません。
それでも、自宅で考え、調べ、書き、作業できる場所を作ることは、これからの自分に必要だと思いました。
会社に行けば、仕事をする場所も、道具も、役割も用意されています。
でも、個人で何かを始めようとすると、まずその土台から自分で作らなければいけません。
そう考えると、机を作ることも、PCを用意することも、ただの準備ではなく、次の働き方に向けた小さな一歩だったのだと思います。
そうこうしている間に、4ヶ月はあっという間に過ぎていきました。
そして、会社員生活最後の2ヶ月、有給期間に入りました。
2ヶ月のロングバケーションでやりたかったこと
ロングバケーション。
長らく夢見てきたものが、目の前にありました。
会社員として働いていると、長く休めても1週間程度ということがほとんどです。
2ヶ月というまとまった時間があれば、いろいろなことができる。
そう思っていました。
やりたいことは山ほどありました。
旅行に行きたい。
家のことを片付けたい。
バイクの免許をとりたい。
昔の友人に会いに行きたい。
ブログを始めたい。
次の仕事の準備をしたい。
今までできなかったことを、この期間に一気に進めたい。
そんな気持ちもありました。
ひと足先に会社を辞めた同僚は、旅行に行ったと言って、お土産をくれました。
海外旅行かぁ、羨ましい。
正直、そう思いました。
でも、この先のことを考えると、私には旅行に行く余裕はありませんでした。
妻にも相談しましたが、家族の日程が合わないこと、金銭的な余裕もないことから、旅行は諦めることにしました。
お金をかけずに一人で旅行に行くという選択肢もありました。
でも、私一人で行ったところで得られるものは少ないように思いました。
妻に対する後ろめたさもありました。
旅行は、新しい仕事が軌道に乗ってからのご褒美に取っておくことにしました。
有給期間の最初にやった手続き
有給期間の最初の1日目にやったことは、役所に行くことでした。
健康保険と年金について相談するためです。
退職後は、健康保険をどうするか、年金をどうするかを考える必要があります。
会社の健康保険を任意継続するのか。
国民健康保険に切り替えるのか。
どちらがよいのかは、実際に金額を確認しないと判断できません。
窓口で国民健康保険にした場合の納付額を見積もってもらいました。
最初は任意継続にしようと思っていたのですが、結果としては国民健康保険の方が安いということがわかりました。
このあたりの手続きは少し複雑なので、また別の記事で詳しくまとめたいと思います。
ただ、退職後の空白期間に入ったら、まず健康保険や年金などの手続きを確認することは大事だと感じました。
不安を頭の中だけで抱えるより、役所に行って聞いてみる。
それだけでも、少し状況が整理されます。
2日目は、ハローワークに行きました。
雇用保険の受給までの流れを再確認すること。
そして、窓口に足を運ぶことで、何か得られる情報がないかを確かめることが目的でした。
私が知りたかったのは、就職支援だけではありません。
学び直しの支援がないかということも知りたいと思っていました。
ハローワークで見たパンフレットには、「急がば学べ」という言葉がありました。
実際に、学校に入学し、スキルを身につける方法もあります。
学費が教材費だけで済むものや、無料でオンラインで学べる講座など、さまざまなものがありました。
退職後は、すぐに次の仕事を探すだけではなく、学び直しという選択肢もある。
そのことを知れたのは、大きかったと思います。
3日目からは、退職準備で外出する用事はなくなりました。
有給期間に入ったら、退職準備を一気に進めるぞと意気込んでいたのですが、思ったより早く手続きが一区切りつき、少し拍子抜けしてしまいました。
空白期間に一番時間を使ったこと
有給期間中も、1週間に1日くらいは会社に行きました。
有給日数は100日以上残っていましたが、私の仕事がマネジメント職だったこともあり、完全には引き継ぎきれない部分もあったためです。
それでも、それまでの会社員生活と比べれば、自由に使える時間はたくさんありました。
その時間の中で、一番多くの時間を使ったのは家計改善です。
細かな固定費の見直しもしました。
その中でも大きかったのが、電気代削減のために太陽光パネルの導入を検討したことです。
できるだけ初期コストを抑えながら導入できないか。
その道筋を立てるために、初めてChatGPTを本格的に活用しました。
機器の選定から設計まで、できるだけ自分でできる方法を考えました。
もちろん、業者に丸投げすることもできます。
でも、この期間を利用して、少しでも初期コストを抑えられないかと思いました。
ある程度、機器を準備するところまでは進めました。
ただ、法令や手続きの部分で詰まり、2ヶ月で終えることはできませんでした。
それでも、ChatGPTを使いながら自分で調べ、考え、計画を立てるという経験は大きかったです。
AIは、ただ答えをもらうためのものではなく、自分の考えを整理し、前に進めるための道具にもなるのだと感じました。
ブログを始める準備をした
もうひとつ時間をかけたのが、ブログです。
なぜブログを始めようと思ったのか。
それは、今後の自分の働き方を考え直すベースになると思ったからです。
具体的な仕事の内容は、まだ何も決まっていませんでした。
でも、ブログを書くことによって、自分の考えや経験が整理できるのではないか。
そこから、次の道が見つかるのではないか。
そんな期待がありました。
ブログの名前を考え、どういう設定で運営していくのかを検討し、サーバー契約もしました。
ただ、54歳でゼロから学び直すのは簡単ではありません。
WordPressを使ってサイトを作るところで何度も詰まりました。
思ったようにデザインできない。
設定の意味がわからない。
何をどう直せばよいのか、調べてもすぐには理解できない。
結局、実際にブログサイトを形にできたのは、退職後でした。
それでも、有給期間中に準備を始めたことは無駄ではありませんでした。
何もわからない状態からでも、少しずつ触っていけば進んでいける。
そう感じられたことは、次の働き方を考えるうえでも大きな意味がありました。
家族の夕食づくりを始めた
有給期間にやったこととして、もうひとつ大きかったのが家族の夕食づくりです。
これは、妻の家事負担を少しでも減らすこと。
そして、食費の家計改善をすること。
その両方の意味がありました。
毎日の献立を考え、買い物をして、料理をする。
これは、思っていたよりもずっと大変なことでした。
たまに思いつきで料理をするのとは違います。
毎日となると、何を作るかを考えるだけでも手間がかかります。
栄養のこと。
家族の好み。
冷蔵庫にある食材。
食費。
作る時間。
そういうことを考えながら夕食を用意するのは、想像以上に頭を使う作業でした。
でも、家族に「おいしかった」と言われると、とても嬉しい。
日々生活の中に、その充実感も生まれました。
妻にありがとうと言ってもらえると、もっと頑張らないとと、力が湧いてきます。
退職後の空白期間というと、次の仕事の準備ばかりを考えがちです。
でも、家族の暮らしを支えることも、同じくらい大事なことでした。
この夕食づくりについても、書き出すと長くなるので、また別の記事にしたいと思います。
最後の1週間は忙しかった
有給期間の最後の1週間は、思っていた以上に忙しくなりました。
会社の退職に向けた手続き。
貸与物の返却。
最後の挨拶。
退職日が近づくにつれて、いよいよ会社員生活が終わるのだという実感が出てきました。
息子の大学入学準備もありました。
この春から一人暮らしを始めます。
そんな中で、一番の思い出になったのは、娘との1泊2日の旅行です。
最初に、旅行は諦めたと書きました。
家族全員で旅行に行く日程も合わず、金銭的な余裕もありませんでした。
それでも、春休みに娘との思い出が何もないのは、少し心苦しく感じました。
妻や息子との日程は合いませんでしたが、娘と二人で、妻と出会った頃に行った思い出の街へ出かけました。
その日の思い出が、このブログのトップページにある詩につながっています。
本当はもっと長い詩なのですが、機会があれば全文も披露したいと思っています。
ロングバケーションというと、海外旅行や大きなイベントを思い浮かべるかもしれません。
でも、私にとって一番心に残ったのは、そうした派手なものではありませんでした。
娘と二人で歩いた街。
少し昔を思い出す時間。
これからのことを考えながら過ごした短い旅。
それが、会社員生活最後の有給期間の中で、一番の思い出になりました。
空白期間は、後ろめたい時間ではなかった
退職時の空白期間は、思い描いていたものとは違いました。
最初は、時間を無駄にしたくないという焦りがありました。
みんなが働いている時間に、自分だけのんびり過ごしているような後ろめたさもありました。
実際、すべての時間を有意義に使えたわけではありません。
ダラダラと動画を見たり、漫画アプリを読んだり、スマホゲームをしたりした時間もありました。
やらなければいけないと決めていたのに、できなかったこともたくさんあります。
太陽光パネルの導入も、2ヶ月では終わりませんでした。
ブログも、有給期間中に完成まではいきませんでした。
次の収入の形も、まだ決まっていません。
そう考えると、思った通りに過ごせたわけではなかった。
もっと、上手く立ち回ることができたかもしれない。
でも、あらためて振り返ってみると、この期間は決して無駄ではなかったと思います。
家計を見直しました。
役所やハローワークに行き、退職後の手続きを確認しました。
AIを使って、家計改善や太陽光パネルの検討をしました。
ブログを始める準備をしました。
家族の夕食を作るようになりました。
息子の大学入学準備を整えました。
娘と旅行にも行きました。
ひとつひとつは小さなことですし、予定通りに進まなかったこともありました。
でも、それらはすべて、これからの生活を作り直すための時間でした。
まとめ:ロングバケーションは次の人生への助走期間
退職後の空白期間は、ただの長い休みではありませんでした。
思いきり遊べる自由な時間でもありませんでした。
不安があり、焦りがあり、後ろめたさもありました。
やりたいことはたくさんあったのに、できなかったことも多くありました。
それでも、この期間があったからこそ、できたことがありました。
家計と向き合うことができました。
退職の手続きを進め、これからの働き方を考え始めることができました。
ブログやAIという新しい道具にも触れることができました。
そして、大切なものを少し取り戻すこともできました。
ロングバケーションは、思い描いていたような華やかな時間ではなかった。
でも、次の人生に向けて、自分の足元を整える時間でした。
今もまだ、その延長線上にいます。
退職後の空白期間をどう使えばいいのか。
その答えは、人によって違うと思います。
旅行に行く人もいる。
資格の勉強をする人もいる。
転職活動をする人もいる。
何もしない時間が必要な人もいる。
私の場合は、家計を整え、学び直し、ブログを始め、家族との時間を取り戻す期間になりました。
完璧に過ごせなくてもいい。
焦りながらでも、迷いながらでもいい。
振り返ったとき、次の自分につながり、大切なものを見失わず、自分の歩幅で歩けていれば、
その空白期間には意味があったのだと思うのです。

